ラグビーにおけるポジショナルプレー
目次

サッカーから生まれたポジショナルプレーをラグビーに展開していきます。サッカーは理論が明確にあるので、方法論や練習が体系化されています。
ポジショナルプレーの起源
サッカーにおけるポジショナルプレーの起源は1950年代と言われています。現在では「ポジショナルプレー」と言われるまでに方法論に従って練習できるプレースタイルが確立しました。
ポジショナルプレーとは
状況に応じた陣形の最適配置になります。ボールが選手のポジションを決定する↔︎ボールがポジショニングに向かう。このリサイクルを繰り返します。無造作に陣形を変化させるということではなく、陣形の配置には基準があります。それは数的優位、質的優位、量的優位の追求にあります。
数的優位、質的優位、位置的優位
ポジショナルプレーは3つの優位性を出せるポジショニングが大切になってきます。まずは数的優位はオーバーラップのことで、例えば、シェイプは順目側にポジショニングすることでオーバーラップを作りだすので数的優位が狙いになります。質的優位はいわゆるミスマッチで、FWの選手にアジリティーの高いBKがアタックしたり、質量に勝るFWがBKの選手にコンタクト、または背の低い選手に対して背の高い選手を配置してコンテストキックを上げるなどがあげられます。位置的優位とは防御はBDを中心にポジショニングしているが、アタックはBDから離れてポジショニングしているポッドは位置的優位性を発揮しているシステムになります。
ラグビーワールドカップ2019年日本大会
従来のポッドはチャンネルが3つまたは4つと限定されていましたが、ワールドカップ2019年日本大会で、ジャパンがポジショナルプレーの考えから可変式ポッドの新戦術で戦っていきました。井上さんの著書「ラグ戦」によると、ワールドカップでジャパンは「2,3,2,1→1,3,2,2→2,3,2,1→1,3,3,1」とポジショニングを変化させています。エッジでの質的優位を保つためのポジショニングの変化で、エッジとオフ9のアタックを繰り返すピストンアタックを使いながらフェイズを重ねて逆側のポッドのポジショニングの配置する時間を作っていました。これがまさにポジショナルプレーにおける状況に応じた陣形の最適配置になります。
オーバーロードとアイソレーション
ブロッカー付きのエッジとオフ9のピストンで陣形をコンパクトにして防御をグルーピングするオプションはサッカーでいうオーバーロードに当てはまります。防御はエッジとオフ9に対して防御しなければならないので遠いサイドで配置を変えている選手にはプレッシャーを与えられません。そのためオーバーロードを使いながらFWとBKの選手のポジショニングを変えて質的優位を引き出すアイソレーションのオプションが出てきました。アイソレーションの選手は姫野選手やマフィ選手などフィジカルが強い選手を配置していきます。
まとめ
サッカーは理論が明確にあるので、方法論も体系化されているためラグビーで転換できることが多くあり、その一つがポジショナルプレーです。ポジショナルプレーは自チームのバランスを保ちながらポゼッションを高めて防御をいかに崩すかを考えています。
YouTubeで井上さんが可変式ポッドについて解説しています。