
2020年関東高校ラグビー新人戦 決勝レビュー
目次
2020年神奈川県新人戦決勝に引き続き今回は関東高校ラグビー新人戦決勝、桐蔭学園vs国学院栃木の個人的なレビューを書いていきます。
桐蔭学園
2020年神奈川県新人戦決勝で東海相模と対決しました。その際はポゼッションを意識したラグビーで、ミッドフィールドではFWを順目にポジショニングしながら大きいFWのフィジカルをオフ9で活かしながら防御のフォールディングを遅らせることでエッジで有利な状態でアタックしたいという意図が見受けられました。
EXIT戦略(自陣22mからの脱出)
かなり風が強いため、キックを蹴っても前に飛ばないコンディション。桐蔭学園はDzone(自陣22m)から1度キックを使って自陣脱出を試みるも風に押し戻されるため自陣深くからポゼッションを高めるEXIT戦略に変更。自陣から攻めるのは「リスク」ですが、キャッチングとBDのスキルが高いためこのEXIT戦略を「チャレンジ」できるスキルとメンタルからの選択だと考えています。
順目優先のポジショニング
冒頭で桐蔭学園は「ミッドフィールドではFWが順目にポジショニング」しているので国学院栃木の選手は防御を順目に優先してプレッシャーをかけていきます。防御も順目にポジショニングを優先することもあって、逆目のBD周辺のチェーン(選手間のコネクト)が切れたところを桐蔭学園のHOが見逃さず、ピックのプレーを選択してラインブレイク。そのまま一気にFzone(敵陣22m)に進出して質量があるFWを全面的に出しながらスコア。
BDにプレッシャー
桐蔭学園のDzoneからのEXIT戦略にプレッシャーをかけたい国学院栃木は風を味方にキックオフを敵陣深くまで蹴り込み、テリトリーを優位に進めます。しかし、桐蔭学園のBDにプレッシャーをかけるこができず、ポゼッションの奪還ができません。BDにプレッシャーをかけれない理由はアシストタックラーが引き込んで倒してしまうため1フェイズ1フェイズゲインを取られていきます。BDを引き込むということは防御側がアタックの推進力を助けていることになるので防御側がプレッシャーをかけることはできません。引き込むシュチュエーションはボールキャリアが孤立した時になります。
質量も関係してるかもしれませんが、ここはスキルで解決ができるところになります。
コンディションによる戦術の選択
後半風を味方につけた桐蔭学園はEXIT戦略を変更します。桐蔭学園はキックでテリトリーを進めてディフェンスから国学院栃木のBDにプレッシャーをかけていきます。前半は徹底したポゼッション、後半はキックを用いてテリトリーを進め国学院栃木のBDにプレッシャーに変更しており、防御でもBDのスキルの高さが目立ちました。
まとめ
スクラム以外の大局で国学院栃木にプレッシャーをかけることができているにもかかわらず、ペナルティーを得て、ゴールキックを数回選択するなどスコアを奪ってゲームでいかに勝つかを徹底されていると感じました。新人戦でここまでのハイクオリティーな試合はなかなか見ることができません。また両校の健闘を祈り、次戦はより高度なゲームになることを楽しみにしています。