2019WorldCup日本大会で南アフリカはどのように勝ち抜いたのか 前編




2019World Cup日本大会南アフリカはどのように勝ち抜いたのか 前編

画像:J sports

今回は2019 Rugby World Cup日本大会を制した南アフリカをラグビーコーチの主観だけでなく、2019ラグビーワールドカップ日本大会公式HPのスタッツを参考にして独自に分析してみました。長くなったので前編・後編と分けていきます。

分析対戦チーム

プール戦でのニュージーランド、決勝トーナメントで対戦したジャパン、ウェールズ、イングランドの4か国との対戦のスタッツを用いて分析していきます。この4ヶ国を選んだ理由は南アフリカと戦力差が離れておらず、ティア2との試合では戦力差があるためスタッツが参考にならないと考えたからです。

得点と失点

ニュージーランド、ジャパン、ウェールズ、イングランドの4か国との試合での総得点は90点、総失点は54点になっています。

キック、ラン、タックル、パス比較

vsジャパン

vsウェールズ

vsイングランド

決勝トーナメントの3か国との対戦でスタッツは似たようなものになっています。共通していることは「対戦チームよりもキックとタックルが多く、ランとパスの数は少ない」ということです。このスタッツの傾向から少ないフェイズでキックを使ってテリトリーを進めていることが読み取れ、ボールを手放しながらでも前進するストーミングを使っていたことがわかります。そしてキックとタックルが多いことから南アフリカがディフェンスでプレッシャーをかけたゲーム展開だったことがわかります。まさに南アフリカのゲームモデルがスタッツに反映されています。

vsジャパン戦はジャパンがpassの回数が204回と南アフリかの104回でほぼ2倍になっておりpassのスタッツが著しく多いのがわかり、パスの種類のスタッツまで調べてませんが、ジャパンはポジショナルプレーからポゼッションを意識しており、可変式ポッドを使うためにランとパスの数が多くなったと考えられます。

初戦でニュージーランドに敗戦

vsニュージーランド

予選プールで初戦でのニュージーランド戦のスタッツになります。決勝トーナメントのスタッツとは違い、キック、ラン、タックル、パスの全てのスタッツがニュージーランドが上回っています。前半はニュージランドはミッドフィールドにボールを運び防御をスプリットさせる戦術でしたが、南アフリカのラッシュにプレッシャーを受けました。そのため後半はエッジの空いているスペースにキックパスでボールを運び南アフリカの防御を崩した試合展開でした。さらにニュージランドはスクラムでも南アフリカにプレッシャーをかけることができました。

セットピース(スクラム)

南アフリカの強さはスタッツにも出ているように「キックを用いてボールを手放しながらでも前進していく」ストーミングの考えに加えて、スクラムなどのセットピースからも対戦相手にプレッシャーをかけていました。後編はスクラムやセットピースが試合に与えた影響を分析していきます。