指導者のフィジカルトレーニングの考え方




指導者のフィジカルトレーニングの考え方

ラグビーで必要なフィジカルの向上のために、フィジカルは別にトレーニングするべきか、ラグビーのプレーでトレーニングするべきか悩まれている指導者は多いと思います。今回は「バルセロナ フィジカルトレーニング メソッド」を参考にフィジカルトレーニングについて書いていきます。

フィットネス練習

ほどんどのチームが必須に行っているフィットネス練習は持久力の向上を目指しています。しかし「技術」「戦術」「疲労」が関係性を持たずにトレーニングが行われているケースが多く、「バルセロナ フィジカルトレーニング メソッド」をラグビーに転換すると、ラグビーでのパスやタックルなどのプレー全部がスキル(技術)と、選手の意思決定(戦術)と疲労(持久力)の影響を受けるので、この本では別々に鍛えるは非効率であると考えられおり、一緒に鍛えていく方が効率がいいという考え方です。サッカー界では「ピアノを上手くなるにはピアノを弾く、ピアノの周りを走る必要はない。」と言われています。

たくさん走ること

コーチは選手にチームに必要な技術・戦術を共有していきます。これは選手をシステマチックにするというよりも無限大にあるプレー選択の中から「無駄な動き(思考)」を減らしていくことにあります。コーチが求めるのは「適切なポジショニング、適切なタイミング」になります。これは少し速い、少し遅いでは効果的な戦術が機能しません。つまり戦術が機能してスピードが上がり、全体のスプリントの回数が減るのはコーチにとって良いことと考えられます。つまり走行距離が多い選手がいい選手とは限らなくなります。

問題をフィジカルに頼ってしまう

「もっと走れ、もっと動け」と多くの指導者は口にしているのを見かけます。
例えば、「アタックのポジショニングが遅い」という問題があった場合、アタックのポジショニングスピードを上げるためにスプリントの練習をしてフィジカルに頼ってしまう場合があります。

選手が適切なポジショニングができていないのはBDを見ながらポジショニングしていることが考えられ、この問題をフィットネスで解決することはできません。「アタックのポジショニングが遅い」という背景を読み取り「ボールウォッチ」という現象を極力なくす練習メニューを行うことでこの問題を解決していきます。

まとめ

冒頭で、「ラグビーで必要なフィジカルの向上のために、フィジカルは別にトレーニングするべきか、ラグビーのプレーでトレーニングするべきか」というの明確な答えは自分の中で出ていません。しかしラグビーは複雑系なスポーツなので単的な練習での上達は難しいため、できるだけラグビーの中で鍛えていくのが効率が良いことが本からもわかりました。近年の練習方法で、ルールに制限をかけて引き出したい現象を出していく「ゲームセンス」の練習が増えてきたのはそのためだと考えられます。

肉体的なフィジカルはもちろん、認知からアクションまでのスピード(意志決定と状況判断)をどれだけ上げれるかが現代ラグビーでの勝敗の分かれ目だと思います。